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WHY NUMBERS FIRST

「開業資金いくら?」より先に、売上の設計図を持つ

税理士の開業は、店舗業のように大きな設備投資を必要としない一方で、顧問先がゼロから積み上がるまで売上が読みにくいという特徴があります。だからこそ、必要資金を「積み上げ見積もり」だけで考えると、運転資金が薄くなりがちです。

先に決めたいのは、目標とする月間売上。顧問料の月額とスポット業務をどう組み合わせ、何件で目標に届くのかを逆算すると、必要な顧問先数・単価・固定費の上限が具体的な数字になります。売上の設計図があって初めて、「開業資金にいくら回せて、運転資金をどれだけ厚く持つか」の判断ができます。

このページでは、①売上の作り方 → ②必要資金の内訳 → ③自己資金と資金調達 → ④開業直後のキャッシュ設計の順で、税理士事務所の数字づくりを整理します。※以下の金額はいずれも一般的な傾向にもとづく目安であり、地域・規模・取扱業務により大きく異なります。登録関連の費用は制度・所属税理士会により異なります。

BUSINESS PLAN

事業計画の立て方|売上を逆算で組み立てる

税理士事務所の売上は「毎月入る顧問料」と「時期・案件で入るスポット」の二階建てです。

📐 売上の基本式

税理士事務所の売上は、大きく次の3本柱で組み立てられます。まずはこの構造を頭に入れると、逆算がしやすくなります。

月間売上 = 顧問料(月額)× 顧問先数
+ 決算・記帳代行 + スポット業務

  • 顧問料(月額):毎月安定して積み上がる基盤。事務所の売上の土台になります。
  • 決算・記帳代行:決算料は年1回のまとまった収入。記帳代行は顧問料に含めるか別料金にするかで単価設計が変わります。
  • スポット業務:相続税申告・創業支援・融資サポート・税務調査対応など、単発で入る収入。専門特化の入口にもなります。

🎯 目標から逆算する

「目標月商」を決め、平均顧問単価で割ると、必要な顧問先数の目安が見えます。たとえば月商の目標を決め、平均顧問単価で割るだけでも、「あと何件の契約が必要か」が具体的な数になります。

1

目標月商を決める

生活費+固定費+利益から、必要な売上を先に置く

2

平均顧問単価を置く

業種・規模・関与度に応じた1件あたりの想定単価

3

必要顧問先数を出す

目標月商 ÷ 平均単価 = 目指す契約件数の目安

※ 単価・関与度・業種構成によって必要件数は大きく変わります。数字は考え方を示すための例です。

💴 単価設計のポイント

「安さ」で件数を取りにいくと、繁忙期に手が回らず単価も上げにくくなります。関与度(訪問/来所/オンライン、記帳の有無、年商規模)で階段状に単価を設計すると、受注後の負担と収入のバランスが取りやすくなります。

  • 関与度・年商規模で顧問料に階段をつける
  • 記帳代行の有無で料金を分ける
  • 決算料・スポットを別建てで明示する

🏢 見落としやすい固定費

売上ばかりに目が向くと、毎月出ていくお金の見積もりが甘くなります。とくに税理士会の会費や各種ソフトの月額は、開業前から発生する「固定費」として計画に織り込んでおきます。

  • 事務所家賃・水道光熱費・通信費
  • 会計・申告ソフト等の月額利用料
  • 税理士会の会費(毎月・毎年の固定費)
  • 人を雇う場合の人件費・社会保険料

※ 会費・ソフト利用料は所属する税理士会・契約するサービスにより異なります。金額は必ず各窓口・提供元でご確認ください。

FUNDS BREAKDOWN

必要資金の内訳|税理士開業の費目を分解する

開業資金は「初期投資」と「運転資金」に分けて考えると、必要額が読みやすくなります。

費目金額の目安ポイント
事務所開設費自宅なら小/賃貸は保証金・内装で大自宅開業なら大きく抑えられる。賃貸は保証金・礼金・内装が加わり負担が増える
PC・会計/申告ソフト会計ソフト・申告ソフト・電子申告環境。買い切り型かクラウド月額型かで初期負担が変わる
什器・備品小〜中デスク・キャビネット・複合機・応接まわり。中古やリースで圧縮可能
税理士会の登録関連費用制度・会により異なる(要確認)登録免許税・登録手数料・入会金など。金額は所属税理士会により異なるため必ず確認を
広告・ホームページ小〜中事務所HP・Googleビジネスプロフィール整備など。初回の集客導線に必要
運転資金数ヶ月〜(厚めに)顧問先が積み上がるまでの生活費・固定費。最も削ってはいけない部分

💡 登録関連の費用は「制度・会により異なる」前提で見込む

税理士登録にともなう登録免許税・登録手数料・税理士会の入会金や会費は、開業計画に必ず織り込みたい費目です。ただし金額は制度改定や所属する税理士会によって異なります。ここは「およそこのくらい」と決め打ちせず、事務所所在地を管轄する税理士会の公式案内で最新額を確認したうえで資金計画に入れてください。

※ 上表の金額はすべて目安です。開業形態・地域・取扱業務・雇用の有無により大きく変動します。

SELF-FUNDING & LOAN

自己資金と資金調達の考え方

税理士開業は設備投資が軽い分、資金調達より「自己資金と運転資金の厚み」が論点になりやすい業態です。

💰

自己資金の目安

一般的な考え方として、必要資金の3分の1程度を自己資金の目安とする見方がよく使われます。税理士は初期投資が小さくても、顧問先が積み上がるまでの生活費が必要になるため、「開業資金+当面の運転資金」を自己資金でどこまで賄えるかを先に確認しておきます。

🏦

創業融資という選択肢

自己資金だけでは運転資金が心もとない場合、日本政策金融公庫などの創業向け融資制度も選択肢になります。事業計画書と資金繰り計画の精度が審査の要になるため、前段で作った売上の設計図がそのまま役立ちます。税理士自身が創業支援・融資サポートを提供する立場でもあるため、実務としても押さえておきたい分野です。

🔗 公式情報でたしかめる

※ 融資制度の要件・金利・限度額は改定されることがあります。最新の内容は各金融機関の公式情報でご確認ください。

CASH FLOW

開業直後のキャッシュ設計|運転資金は厚めに

税理士開業で最も資金がショートしやすいのは「顧問先が積み上がるまで」の期間です。

顧問契約は一度取れれば毎月続く安定収入ですが、最初の数件が積み上がるまでには時間がかかります。この立ち上がり期に、生活費と固定費(家賃・ソフト・会費)が毎月出ていく——ここを甘く見ると、売上が伸び始める前に資金が尽きてしまいます。

🗓️

運転資金は数ヶ月〜厚めに

生活費を含めた運転資金は、顧問先が積み上がるまでの期間を長めに見て確保。「思ったより時間がかかる」前提で厚めに持っておくと安心です。

📉

立ち上がり期は赤字前提で計画

開業直後から黒字化する前提で組まないこと。売上が固定費を上回るまでの月数を見積もり、その間を耐えられる現金を用意します。

🔁

固定費は「毎月出る額」を把握

家賃・ソフト月額・会費・通信費など、売上ゼロでも毎月出ていく金額を合計し、何ヶ月分を手元に置くかを逆算します。

💡 「設備」より「運転資金」に厚みを

税理士開業は内装や設備にお金がかからない分、浮いた資金を豪華な事務所ではなく運転資金にまわすのが定石です。立ち上がり期を長く耐えられるほど、値下げ受注に頼らず、条件の合う顧問先をじっくり選べます。キャッシュの余裕がそのまま単価の交渉力になります。

CHECKLIST

資金計画を固める前のチェックリスト

開業計画書を書き始める前に、数字の抜けがないか確認しておきたい項目です。

  • 目標月商を金額で決めてある(「そこそこ稼ぐ」で止めていない)
  • 平均顧問単価と、目標到達に必要な顧問先数を試算した
  • 顧問料・決算料・記帳代行・スポットを分けて売上を組んだ
  • 毎月出ていく固定費(家賃・ソフト・会費・通信費)を合計した
  • 税理士会の登録関連費用を、管轄税理士会の最新額で確認した
  • 会計・申告ソフトを買い切り/月額のどちらにするか決めた
  • 運転資金を、顧問先が積み上がるまでの月数分で確保している
  • 自己資金の目安と、不足分の調達手段(公庫等)を確認した
  • 立ち上がり期の赤字を織り込んだ資金繰り表をつくった

※ 登録費用・融資・税制に関する要件は改定されることがあります。最新の要件は所属税理士会・金融機関・所轄官庁の公式情報をご確認ください。

FAQ

開業計画と資金についてよくある質問

税理士の開業資金はいくら必要ですか?
開業形態で大きく変わります。自宅開業なら初期投資は小さく抑えられますが、税理士会の登録関連費用(登録免許税・登録手数料・入会金など、金額は制度・会により異なります)と、顧問先が積み上がるまでの運転資金は別に必要です。「初期投資+当面の運転資金」を合算し、目安として考えることをおすすめします。
自宅開業なら安く済みますか?
事務所の保証金や内装費がかからないぶん、初期投資は大きく抑えられます。ただし安くなるのは「設備」の部分で、税理士会の会費や会計・申告ソフトの月額、そして運転資金は自宅開業でも必要です。浮いた資金は運転資金に回して、立ち上がり期の余裕を確保するのが賢い使い方です。
顧問先ゼロから、何ヶ月くらいで回るようになりますか?
一概には言えませんが、顧問契約は毎月積み上がっていくストック型のため、最初の数件が増えるまでは時間がかかると考えておくのが安全です。だからこそ運転資金は厚めに——立ち上がり期を長めに見積もり、その間を耐えられる現金を用意しておくと、値下げ受注に頼らずに済みます。
開業資金に融資は使えますか?
日本政策金融公庫などの創業向け融資制度を利用する方もいます。審査では事業計画書と資金繰り計画の精度が重視されるため、売上の逆算(顧問単価×件数+スポット)と固定費・運転資金を整理した計画があると説得力が増します。要件や金利は改定されることがあるので、最新の内容は各金融機関の公式情報でご確認ください。
開業後の顧問先管理や面談予約も、計画段階で考えるべきですか?
はい。売上は顧問先の積み上げで決まるため、初回相談・面談を取りこぼさない受付の仕組みを、開業準備と並行して考えておくと立ち上がりがスムーズです。予約・顧客管理システム「リピタス(RepiTas)」なら、相談予約の受付から面談前後の連絡、顧問先情報の整理までまとめて行えます。

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