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THE FORMULA

1日の売上は、開店前にほぼ決まっている

1日の売上 = 客単価 × 1時間に提供できる数 × ピーク時間

オフィス街の昼なら、実質的に売れるのは11:30〜13:30 のおよそ2時間それ以外の時間に何人来ても、売上の大半はここで決まります。

ここで効いてくるのが1食あたりの提供時間です。 仮に1食90秒で出せる商材なら、2時間で理論上80食。1食3分かかるなら40食。 同じ客単価なら、売上は倍違います。 原価率を5%改善する努力より、提供時間を1分縮めるほうが、はるかに大きく利益が動くのはこのためです。

A:原価率25%・提供3分

単価800円 × 40食 = 32,000円
粗利 = 24,000円

B:原価率35%・提供90秒

単価800円 × 80食 = 64,000円
粗利 = 41,600円

原価率で見ればAのほうが優秀ですが、実際に残るのはBです。 もちろん80食を作り切れる仕込みと体力が前提になりますが、「原価率の良い商材」と「儲かる商材」は一致しないことが分かります。

FIVE AXES

商材を評価する、5つの軸

この順番で見ると、選ぶべきものが絞り込まれていきます。

1

提供速度(最重要)

注文を受けてから渡すまでの秒数。作り置きできる部分が多いほど速くなります。鉄板やフライヤーで都度調理するものは遅く、盛り付けるだけのものは速い。ピークの取りこぼしを決めるのは、味ではなくここです。

2

利益率

原価率だけでなく、容器や割り箸、袋といった副資材まで含めて計算します。1食あたり数十円の資材費は、100食売れば数千円です。意外と見落とされます。

3

仕込みの量と場所

前日にどこまで作れるか。仕込みが長いほど、シェアキッチンの利用時間が増え、費用と拘束時間が伸びます。「当日の朝2時間で終わるか」を基準にすると、生活が破綻しにくくなります。

4

廃棄リスク

売れ残ったとき、翌日に回せるか。生ものは即廃棄になり、粉物や乾物は比較的粘れます。天候で売上が読めない業態なので、この耐性は利益を直接左右します。

5

季節変動

夏に強い商材、冬に強い商材があります。片方だけに寄せると、年の半分が苦しくなります。主力に加えて「逆の季節でも売れるもの」を1品持っておくのが定石です。

COMPARISON

主要ジャンルを、5軸で並べてみる

◎○△は一般的な傾向です。調理法や仕込みの工夫で変えられる部分もあります。

ジャンル 提供速度 利益率 仕込みの軽さ 廃棄耐性 季節
カレー・丼もの 通年
クレープ・スイーツ 通年(夏やや強)
から揚げ・フライ系 通年
コーヒー・ドリンク専門 通年(季節で商品を変える)
ケバブ・ラップサンド 通年
タコス・エスニック 通年
焼きそば・粉物 通年(イベント強い)
かき氷 夏に極端に偏る
ラーメン・麺類 冬に強い
ステーキ・肉系 通年(単価は高い)

表を眺めると、ドリンク専門と粉物・カレー系が全体的に高評価になります。 ただし、これは「競合も同じ結論に至る」ということでもあります。数字がいい商材ほど、同じ出店先で被ります。 ここから先は、誰と並ぶかを踏まえた選択になります。

BY LOCATION

「最も良い商材」は、出店先によって変わる

同じ商材でも、場所が変われば評価は逆転します。

🏢

オフィス街の昼

2時間に集中し、待ち時間に厳しい層。速さがすべてです。単価は800〜1,200円あたりが上限になりやすく、「毎日でも食べられる」ことが重要。凝った一皿より、確実に速く出せる定番が勝ちます。

🏘️

住宅地・スーパー前

夕方が主戦場。夕飯のおかずや、家族分をまとめ買いする層が中心です。1人あたりの購入数が増えるため、複数個買いやすい単価設計が効きます。

🎪

イベント・フェス

非日常の空間で、財布のひもが緩みます。単価を上げやすく、写真に撮りたくなる見た目が売れる要素になります。ただし列が長くなるので、速さも同時に求められます。

🏫

学校・大学の周辺

価格に厳しく、量を求められます。ワンコインで満足感を出せるかが勝負。長期休暇に需要がゼロになるため、そこを別の出店先で埋める計画が要ります。

🏭

工場・作業現場

早い時間帯に需要があり、ボリュームが正義です。定期出店に持ち込みやすく、売上が読みやすい出店先でもあります。

🌸

観光地・行楽地

歩きながら食べられるかが重要。片手で持てて、こぼれない形状であること。天候と季節の影響を最も強く受ける場所でもあります。

だから商材選びの正しい手順は、「売りたいもの」から入るのではなく、「通える範囲に、どんな出店先があるか」を先に調べることです。 半径10kmにオフィス街しかないなら速さ重視、イベントが多い地域なら見た目と単価。 場所が決まれば、商材の候補は自然と絞られます。

HOW TO DECIDE

最終的に、どう決めるか

1

通える範囲の出店先を、10か所リストアップする

オフィス街、住宅地、イベント会場、公園、商業施設。実際に足を運んで、他のキッチンカーが出ているかも確認します。ここが商材選びの前提条件になります。

2

すでに出ている車と、被らない枠を探す

同じ場所に唐揚げが3台並んでいるなら、そこへ4台目で入るのは不利です。逆に「甘いものがない」「ドリンクがない」なら、それが空き枠です。

3

1食の提供時間を、実際に測る

頭の中の想定ではなく、自宅で作って秒数を計ります。90秒を超えるなら、工程のどこを前日に回せるかを考え直します。ここを詰めた人が、ピークで勝ちます。

4

副資材まで含めて、1食の原価を出す

容器、蓋、袋、おしぼり、割り箸。全部足して初めて本当の原価です。ここを含めずに価格を決めると、忙しいのに残らない状態になります。

5

売れ残ったときの逃げ道を用意する

翌日に回せるか、別の形に変えられるか、値引きで捌けるか。廃棄前提の商材は、雨の日に一気に赤字が膨らみます。

そして開業後は、出店先ごとに「何が、どのくらい売れたか」を記録し続けてください。 半年ぶん貯まると、この場所ではこの商品、という組み合わせが数字で見えてきます。 感覚で仕込むのをやめられた店から、廃棄が減り、利益が残るようになります。

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FAQ

商材選びでよくある質問

Q. 結局、いちばん儲かるのは何ですか?
単一の正解はありません。数字だけで見ればドリンク類は利益率も提供速度も優秀ですが、そのぶん参入が多く、単価も低いため食数が要ります。「通える範囲の出店先で、まだ埋まっていない枠は何か」から逆算するのが、最も現実的な選び方です。
Q. メニューは何品くらい用意すべきですか?
開業時は1〜2品に絞ることをおすすめします。品数が増えると、必要な設備も冷蔵容量も仕込み時間も増え、ピーク時のオペレーションが崩れます。売れる型が見えてから、トッピングやサイズ違いで幅を出すほうが失敗しません。
Q. 原価率は何%を目指せばいいですか?
業態や単価によりますが、副資材まで含めて3割前後に収まれば健全と考えられます。ただし本記事のとおり、原価率を下げるより提供速度を上げるほうが利益への効き方は大きい場面が多くあります。両方を同時に見てください。
Q. 他店と同じ商材で参入するのは不利ですか?
同じ出店先で並ぶなら不利です。ただし、出店エリアを変えれば話は別で、「隣町には唐揚げの車がいない」なら十分に成立します。商材そのものより、どこに出すかとの組み合わせで判断してください。
Q. 夏だけ・冬だけ強い商材は避けるべきですか?
主力にするなら避けたほうが無難です。かき氷のように季節が極端に偏る商材は、年の半分を別の商材で埋める計画とセットで考えます。逆に、夏の主力+冬の副力という二段構えにできるなら、強い武器になります。
Q. 売れる数は、どうやって予測すればいいですか?
出店先ごとに実績を記録するしかありません。曜日、天候、来場者数、売れた数。3〜4回同じ場所に出れば、おおよその幅が見えてきます。この記録があると仕込みの量が決まり、廃棄と機会損失の両方が減ります。
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