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INTRO

「教室がない」ぶん、決めておくことが増える

場所という共通の前提が消えると、そのぶん段取りが要ります。

オンライン個別指導は、教室を構えずに始められる分だけ身軽です。地域の縛りがないので、住んでいる場所に関係なく生徒を迎えられます。講師も自宅から指導できるため、採用の幅も広がります。

その代わり、対面の塾なら考えなくてよかったことが増えます。いちばん端的なのが体験授業です。対面なら「◯月◯日の17時に教室へ来てください」で成立していたものが、オンラインではどのツールで、どのURLに、誰が入るのかまで決めないと成立しません。

この段取りを、メールの手打ちと個人のカレンダーでこなしている運営は少なくありません。生徒が数人のうちは回りますが、体験の申込が週に何件も入るようになると、URLの送り忘れ、講師のダブルブッキング、時間の取り違えが確実に起こりはじめます。しかも、これらは体験授業という「いちばん失敗できない回」で起きるのが厄介なところです。

ここでは、オンライン個別指導の体験授業に絞って、予約の仕組みに何を持たせておくべきかを整理します。対面の塾でも共通する「体験のあとの記録」については、学習塾の体験授業を顧客管理もできる予約システムで管理するのほうで扱っています。

DIFFERENCE

オンラインの体験授業が、対面と決定的に違う6つの点

どれも「教室がない」ことから派生しています。

🔗

予約が成立しても、まだ入る場所がない

対面なら住所を伝えれば済みます。オンラインは、その回だけの接続URLを作って、正しい相手に、当日までに届ける必要があります。ここが手作業だと、送り忘れがいつか必ず起きます。

🧑‍🏫

講師の空きと生徒の希望を、地理の制約なしに合わせる

どこからでも受けられる=候補が増えるということです。増えた候補の中から科目・学年・相性を見て割り当てる作業は、頭の中でやるには重すぎます。

🖥

当日までに、生徒側の環境が整っているか分からない

カメラが映るか、音が出るか、通信が安定するか。当日の最初の10分が接続の確認で溶けると、体験授業として見せたかったものが見せられません。

🚪

無断欠席の心当たりが、こちらから確認しづらい

教室なら来なければすぐ分かり、電話もできます。オンラインでは「入ってこない」状態が数分続き、こちらは待つしかありません。連絡経路を先に決めておく必要があります。

📱

保護者が同席するとは限らない

対面の体験は保護者が送迎ついでに顔を出すことが多いのに対し、オンラインは生徒だけで受けるケースが増えます。授業の様子をどう保護者に伝えるかを、別途考えておくことになります。

🌏

時間帯の希望が読みにくい

通塾時間がないぶん、22時台の希望や、平日昼間の希望が出てきます。海外在住のご家庭が申し込むこともあります。受付可能な時間の線引きを、あらかじめ示しておくと迷いが減ります。

DESIGN

オンライン体験の予約は、4つの層で考える

下の層が抜けていると、上の層をいくら整えても当日に崩れます。

第1層

枠を作る

受付可能な曜日・時間帯を決め、同時に何件まで受けられるかを設定します。講師が3人なら同時刻の上限は3件。この上限を仕組み側で持たないと、埋まっていない前提で申込を受けてしまいます。

第2層

人を割り当てる

科目・学年・希望時間から担当講師を決めます。ここで「誰でもいい」にしておくと、決めるタイミングが後ろにずれ、URLの発行も遅れます。予約が入った時点で担当が決まる流れが理想です。

第3層

入口を渡す

その回の接続URL、開始5分前に入室してほしいこと、うまく入れなかった場合の連絡先。これを予約完了の案内に含めておきます。前日と当日にリマインドを送れると、無断欠席がかなり減ります。

第4層

事前に確認しておく

使う端末(PC/タブレット/スマホ)、カメラとマイクの有無、手元の問題集を映せるか。申込フォームで数問聞いておくだけで、当日の立ち上がりがまったく変わります。

この4層のうち、手作業で残していいのは第2層までだと考えています。第3層と第4層は、件数が増えるほど作業量が線形に増え、しかもミスの影響がいちばん大きい部分です。自動で発行し、自動で届く形にしておく価値があります。

FORM

申込フォームで聞いておくと、当日が静かになる質問

多すぎると離脱します。この程度に絞るのが現実的です。

受講する端末

PC・タブレット・スマホで、見せられる資料の作り方が変わります

カメラとマイクの有無

外付けが必要かどうかを、当日ではなく事前に把握するため

手元を映せる環境か

数学や理科では、途中式を見られるかどうかが指導の質を左右します

学年と使用中の教材

その場で開いてもらえる素材を用意しておけます

いま困っている単元

90分の使い道が、聞いた時点でほぼ決まります

同席する保護者の有無

いる前提/いない前提で、締めくくり方を変えられます

連絡がつきやすい手段

当日つながらないときの第一手が決まります

他に検討中の形態

対面塾と迷っているのか、他のオンラインと迷っているのか

TROUBLE

開始時刻になっても、生徒が入ってこないとき

起きてから考えると、講師も家庭も気まずくなります。先に決めておく話です。

開始+2分

講師は待機したまま、待っている旨を予約時の連絡手段へ一言送る

いきなり電話をかけると、準備で慌てている家庭を余計に焦らせます。まずは「つながらなければご連絡ください」と一言。

開始+5分

事務側から、登録済みの連絡先へ確認

講師を待たせたまま連絡係も兼ねさせると、どちらも中途半端になります。受付と講師の役割を分けておくのが要点です。

開始+10分

その回を振替扱いにするか、短縮で実施するかを判断

ここで判断基準がないと、講師ごとに対応が割れます。「10分過ぎたら振替を案内する」と決めておくだけで迷いが消えます。

当日中

原因を記録に残す

機材か、時間の勘違いか、そもそも忘れていたか。3件も溜まれば、案内文のどこを直すべきかが見えてきます。

HONEST

仕組みで解けないこと、解けること

導入前に、期待の置きどころを合わせておきたい部分です。

仕組みで解けること

  • 同時刻の受付上限を超えないようにする
  • 接続URLを予約ごとに発行して案内に含める
  • 前日・当日にリマインドを自動で送る
  • 講師ごとの担当件数を一覧で把握する
  • 事前ヒアリングを申込と同時に済ませる
  • 体験の結果と理由を記録として残す

仕組みでは解けないこと

  • ×生徒側の通信が不安定なこと
  • ×講師とその生徒の相性
  • ×画面越しで集中が続くかどうか
  • ×保護者が対面塾を望んでいる場合
  • ×授業そのものの分かりやすさ
  • ×料金が予算に合うかどうか

右側の6つは、どんなシステムを入れても残ります。だからこそ、左側の6つに講師の集中力を使わせないことに意味があります。段取りに気を取られていない講師のほうが、右側の勝負に強いからです。

FAQ

よくあるご質問

Q. ZoomやGoogle Meetは、予約システムと連携できますか?
製品によって対応の範囲が違います。予約が入ると会議URLを自動生成して案内文に差し込むもの、URL欄を手で入力して案内に含めるもの、そもそも連携を持たないものがあります。すでに使っているツールがある場合は、そのツール名を伝えたうえで実現方法を確認するのが確実です。
Q. 講師が複数いる場合、指名予約にすべきですか?
体験授業に限れば、最初は指名なしのほうが運営しやすいと思います。まだ講師を知らない段階の家庭に選ばせても判断材料がなく、結果として「空いている人」を選ばれるだけになりがちです。入塾後に指名を導入するほうが自然です。
Q. 海外在住の生徒からの申込にも対応できますか?
受け付けること自体は可能ですが、時差の扱いを先に決めてください。表示している時刻がどの地域の時刻なのかが曖昧だと、予約時刻の認識がずれます。受付時間帯を明記し、案内文にも時刻の基準を書いておくと事故が減ります。
Q. 体験授業を無料にすべきか、有料にすべきか迷っています。
どちらにも根拠があるため、一概には言えません。無料は申込のハードルが下がる反面、当日欠席の率が上がる傾向があります。有料にすると件数は減りますが、来る家庭の本気度は上がります。無料で始めるなら、リマインドと前日確認をセットで運用することをおすすめします。
Q. オンラインだけの塾でも、顧客管理は必要ですか?
対面よりむしろ必要だと考えています。教室で顔を合わせない分、生徒の情報が自然に頭に入ってくる機会がありません。誰がいつどんな様子だったかは、意識して残さない限りどこにも蓄積しません。
Q. 小規模でも導入する意味はありますか?
講師が1人で、月の体験が数件なら、カレンダーとメールでも回ります。判断の目安は、URL発行や日程調整に週1時間以上かけているかどうか。そのくらいから、手作業を続けるコストのほうが上回りはじめます。

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